アルティウスリンク アップス

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「この会社で手掛けるチャットボットは、
単なるトレンドとしてのチャットボットではない」
CTO中村雅之インタビュー

こんにちは。PR/広報の大柳です。
初の社員インタビューは、CTO(Chief Technical Officer)を務める中村雅之(なかむら まさゆき)を紹介します!

自身が設立したWeb開発会社の経営の傍ら、何故チャットボット開発に加わったのか、何故カスタマーサポートなのか、彼が今までエンジニアとして歩んできた道のりとその使命を語ってもらいました。


プロフィール

− まずは、中村さんのプロフィールを簡単に教えてください。

プログラマ兼起業家、といったところです。小学生の頃にコンピューターと出会って以来、高校まではゲームなどを作っていました。大学では、研究室に居候させてもらってニューラルネットの研究をしていましたが、在学中にデータマイニングの会社の起業に関わったことがきっかけで、卒業後は起業して自ら会社を経営してきました。

今はアルティウスリンク アップスのCTO以外に、自身の会社の経営や数社のスタートアップに携わっています。

在学中ベンチャーの立ち上げに関わるも倒産 会社経営の厳しさを知る

− エンジニア一色ですね。大学時代に起業した際のお話を聞かせていただけますか。

 大学在学中は人工知能の研究に没頭していました。ある時、先輩に声を掛けられてデータマイニングの会社の起業に関わりましたが、3年ほどで倒産してしまったんです。大学を卒業した束の間の出来事でした。

 当時から人工知能は研究分野の第一線にあり、特にビックデータを活用したデータマイニングがビジネスでも注目されていた時代でした。しかし、データマイニングの技術を最も必要としていたのは企業の経営層で、大した人脈もないベンチャー企業が売り広げていくのはとても難しいことでした。

 会社が倒産したとき、人工知能のような研究開発色の強い事業を成功させるには、もう少し真っ当に「足元を固める」ことが必要だと思いました。その頃は私も未熟で、具体的に何が必要なのか分かりませんでしたが、とにかく「高度な価値を提供するには、高度でない価値を提供し続けられる信用が先にないと厳しい」と悟りました。

 それを実現するための会社の基盤づくりとして、まずは世の中に通用するシステムの開発に注力するべく、自分でWeb開発の会社を設立しました。15年前のことです。

アルティウスリンクグループ(旧:りらいあグループ)の新規事業にジョインするまでの経緯

− そんな中で、アルティウスリンクグループ(旧:りらいあグループ)のチャットボット事業に携わるきっかけは何だったのでしょう?

 私がチャットボットに初めて関わったのは、10年近く前に制作を担当したキャンペーンサイトの仕事でした。当時は現在のチャットボットによくあるカスタマーサポートではなく、エンタテインメント要素が強い集客目的の会話コンテンツでした。

 その仕事を通して知り合ったのが、会話エンジンの開発会社にいた人たちです。そして数年後、彼らはアルティウスリンク社(旧:りらいあコミュニケーションズ社)にジョインし、チャットボットをカスタマーサポートに活用する新規事業を立ち上げようとしていました。

縁があって、その事業の立ち上げ当初からチャットボットのフロントエンドの開発を、私が委託先として担当したのが始まりです。アルティウスリンク側の初期メンバーは2011年当時わずか5人くらいでしたね。この頃に日本でカスタマーサポートにチャットボットを使い始めたのは、かなり早い時期だったと思います。そういう時期に、UIのデザインなど、実際にユーザーが触れる仕組みづくりに直接関われたのは良い経験でした。

自社開発までの経緯と想い

− 現在はアルティウスリンク アップスでチャットボットプラットフォームを自社開発していますが、そこに至るまでの想いを聞かせてください。

立ち上げた当初のバーチャルエージェント(チャットボット)は、未だ自社プロダクトではなかった故に、歯がゆさもありました。

数年間は他社製品をバックエンドとして使用していたので、当然ですが、ユーザー入力に対する回答のロジック部分にコントロールが効きません。フロントエンドだけでは、会話を制御する余地が限られていました。そしてもっと厳しいのは、他システムとのインテグレーション方法も限られていたことです。つまり「会話以上のことをやる」ということがほとんどできませんでした。

例えば、会話のなかで商品を注文したり、過去の購買履歴の情報を会話に取り入れたり、機能面のカスタマイズはUIの制作だけでは到底できません。仕組みに手が付けられないという理由で、お客様の要望を満たせない葛藤が常に付きまとっていました。

ようやくここ数年で、チャットボット事業が追い風となってきたこともあり、自社プラットフォームの開発へ踏み切りました。現在はナレッジ(チャットボットが回答するためのQAデータ)や回答ロジック部分を自社のプラットフォーム上で実現しています。自社プロダクトの強みを活かしてチャットボットの「会話以上の機能」の拡充を目指しています。例えば、事務手続きをチャットボットで完結させる「タスクボット」の開発など、クライアントのニーズに合わせた機能開発を進めています。

「カスタマーサポートの今後を支えるAI技術の開発をアルティウスリンク アップスで成し遂げたい」

− 委託先という立場から、アルティウスリンク アップスのCTOに就任された理由は?

アルティウスリンク アップスの立ち上げ参画とCTO就任を打診されたときは、二つ返事で引き受けました。もちろん長年携わっていたという経緯もありますが、改めて決意をしたのは、親会社のアルティウスリンク(旧:りらいあコミュニケーションズ)のバックグラウンドです。ポイントは主に2つ。まず、コンタクトセンターを通した、カスタマーサポートの経験や取引先を豊富に持ち、圧倒的な基盤があること。次に、カスタマーサポートを主軸に社会の課題に向き合い、社会的責任を負っていること。この会社には、もっと人々の役に立つような仕組みづくりを目指せる下地があると感じましたね。

例え、この先テクノロジーが進んで、人々のやり取りがすべて自動的になったとしても、お客様が問い合わせをする手段が何であれ、人間である以上、カスタマーサポートや"対話"の本質はそう変わらないと思います。人々のサービスの要求が変化するだけで、お客様との言葉のキャッチボール、"対話"をサポートするという真髄は変わりません。

つまり、決してチャットボットというツールありきではなく、きちんとした仕組みがあったうえで本質的な課題に向き合える。ここで手掛けるチャットボットは、ただのトレンドとしてのチャットボットではない――、私が最初の会社で成し遂げられなかったものを、ここでなら何倍も良いものを目指せると思えました。ようやく、スタートラインに立てた気がしています。

人々の生活に入り込めるチャットボット開発の魅力

− チャットボット開発の魅力は何だと思いますか?

人々の生活に関われるサービスのシステム開発ほど楽しいものはありません。チャットボットは企業向け、生活者向け、社内向けとユーザーの幅広さが特徴です。

企業向けでは、チャットボットがどう答えるのか、どう賢くしていくのか、といったナレッジ管理に重きをおきます。エンドユーザー向けでは、サービスの使いやすさを重視し、万人が受用するデザイン性が問われます。そして社内向けでは、導入する企業のオペレーションチームが実際にチャットボットを運用することもあります。ここまで利用者が多く、ユーザーを身近に感じられるビジネスアプリケーションはなかなかありません。

手掛けたサービスがすぐに身近な人の役に立つ、使いやすい・使いづらい等のフィードバックが瞬時に返ってくる。ひとつのプロダクトをみんなで育てていると実感できるのは、幸せな開発ですね。

避けられない変化の渦 速度で戦えるチームを目指す

− 中村さんのアルティウスリンク アップスでのミッションは何だと感じていますか?

現在、チャットボット事業はテクノロジーの進歩と世の中の関心も相まって、既に多くの企業が参入している領域です。業界の環境変化は激しく、「自分たちが変われる速度」の勝負と言っても過言ではありません。変化の激流にどう対応するか決断して軌道修正する――常にその繰り返しで、軌道修正こそが大事です。

仮に「私こんなの作りたいです!」と企画して委託先に頼んで1年かけて完成、のち社内で使ってみたら改善点が多く出たので2次開発をして最終的に「2年かけて良いものを作りました!」と言っていたらどうでしょう。戦う土俵がめくるめく速度で変化しているので、市場の評価にさらすのが遅いことと、2年かけたにもかかわらず軌道修正の回数が少ないことがとても心配ですよね。

私がこの会社で目指していることは、あくまでもチーム開発です。素早く変化できるチームだけがプレイヤーになれる世界で、変化を厭わずスピードを持って取り組めるチームをいかにうまく作れるかが私の最大のミッションです。

アルティウスリンク アップスが向き合うエンジニアのキャリアパスとは

− 最後に、アルティウスリンク アップスのエンジニアには、どんなキャリアパスがありますか?

アルティウスリンク アップスの設立目的のひとつに、エンジニアの採用と育成という点があります。親会社である、アルティウスリンク(旧:りらいあコミュニケーションズ)にはエンジニアのキャリアパスがなかった為です。

エンジニアキャリアパスには、いわゆるシニアエンジニアという役割があります。エンジニアとしての技術を高め、企業文化や強い組織を技術的にリードしていくポジションです。

人を育てたり、組織の仕組みづくりに関心がある人はマネジメントのキャリアパスも選択できます。

社員自身がキャリア設計をするうえで、技術系や管理系、どちらのキャリアステップも踏めるような会社づくりを目指しています。

私は組織の活性化を目指すうえで、昔のアメリカ海軍のコンピューター研究者グレース・ホッパーが残した言葉を大切にしています。

「許可を求めるな、謝罪せよ」――

何かを成すことに許可を求めるくらいであれば、実際に行動してから、そのあとに謝る。チャレンジするということに臆病にならないような企業文化、それを許容するような組織であるべきだと思います。

リスクを負うことを避けるのではなく、怒られるのを覚悟で勝手に決めるくらいがちょうど良いです。そういうエンジニアが集まったら面白いと思います。

消耗されるだけのエンジニアではなく、世の中に通用するような「意味のある仕事」をしたい。IT業界もAIという分野も、勝負どころも儲かる仕事も、今後どんどん変わります。例え、この先チャットボットという言葉が使われなくなっても、カスタマーサポートをその時代に合った形に進化させていく点において、アルティウスリンク アップスで成し遂げる仕事は、「意味のある仕事」だと私は迷わず言えます。

世の中が如何に変化しても、カスタマーサポートの真髄を支えていくであろう、アルティウスリンク アップスの挑戦は尽きないと思っています。